魚を追う身

本日は月に一度の金山孝之さんとの稽古。稽古まで時間があったので、久しぶりに明治神宮を散歩したけど、あんな都心のど真ん中にあの静けさの場があるのは奇跡だと思う。手入れをされている方や、守り人達の地道な作業の果てに成り立っているのだと思う。あそこに行くと、自分が都心に入ることをしばし忘れてしまう。


さて、今回の稽古ではまず話から入る。この前のハピコラの感想や、ご婦人の方の意見も伺う事ができ、非常に良かった。そして金山さんに今後の展望というか、自分の今の気持ちを率直に語らせていただいた。まだまだまだ未熟な身でありながら、寛大な心で受け入れて下さる金山さんにはいつも感謝です。そして話していて、自分の方向性や、あぁこの感じで大丈夫なんだ、とフト心が軽くなるような会話ができた。


そして体術の稽古へ。最近、稽古をしていなくて発狂しそうだったので、今日はいろいろ出てくるかなと思っていたら、出てきた。稽古をしていないと私の場合、どんどん力んでくる身体になってしまうらしい。身体の具合も良くなかったのだが、それが稽古をすると通ってしまう。普段、どれだけ力む癖や、それが最善の策だという思い込みがあるのか。そして身体にそれが染み付いているのか。つくづく感じた日であった。


まず金山さんの気付きから。手首の返し、回転体を使うというもの。これにより、居着きが以前よりなくなってきた感じがあった。これは前にここの記事でも書いた、つむじ風に原理が似ているような気がする。稽古をしていると、時にシンクロしてしまう事もある。全然お会いしていない方でも、久しぶりに会って話していると、今丁度私もその事を考えていたんですよ!なんて事も良くある。これは稽古あるある。シンクロしがち。


話が逸れてしまったので戻すと、そこから初動の話になった。私は極力力みたくないので、上腕は置いといて、前腕だけがフッと動くといいですよとお伝えした。ここから前に稽古の時に言っていた事がある、魚がツンツンツーンとする動きを思い出す。それを動きに応用した所、自分では殆どやっている感じがないのだが、金山さんが崩れかかって、内心自分の方が驚いた。金山さんも何回か稽古してる内に力みが抜けてきて、動きが捉えられなくなってきた。とにかく、普段からどれだけ力に対する信仰のようなものがあるのかとつくづく感じた。力まないでーと言ってるそばから力んでる人もいる位だから。魚がツンツンツーンだと言いにくいので、魚影(うおかげ)と名前をつけた。本来はぎょえいと読むのだが、あえてうおかげで。そして初動の前腕から体幹へバトンタッチ。これを混ぜてしまうと捻れた動きになってしまう。混ぜるな危険。魚影で崩しつつそこからは旋段の手の様に手を黙らせて、体幹を働かせる。せっかく魚影で崩しつつあるのに、その後に力んでしまうとすぐに返されてしまう。お互い出過ぎた前をせずに、折り合いをつけていく。


日常生活では何か作業をしていて、力が入っているなぁと思った場所を解放していく所から始めると良いと思う。そして動きの起点を腰、肚、中心に据えると安定する。いろいろな動きで試してみたが、この魚影と体幹へのバトンタッチはそれまでの動きよりは有効そうだ。まだまだ検証の余地があるが、発見があったから良かった。


その後は剣術、杖術と稽古。
剣術も対人稽古だと、動きがぎこちない事ぎこちない事。改めて対人稽古の重要性を感じました。そして何より楽しい。やって行くと段々と、あぁ足が疎かになってる、手を使ってる等分かってくるのでそれが面白い。金山さんも、その身体で考える時間を尊重して下さっているので安心して没頭できる。これが本当に指導者としての力量だと思います。そして納刀。納刀を観ていて動きが散る感じがしたのは初めて。観ていて不思議だった。実際にやってみると、頭と身体がこんがらがって笑えてくる。別々に動かす。脳トレですね(笑)納刀1つとっても奥深い。剣術や杖術を危ないとか野蛮と考えてやらない方は本当に勿体無いと思う。精密な動きを分解して検証していき稽古する愉しさはやってみなければ分からないと思う。愉しさを知ることも大事。


そして杖術では二十円連打。前回のハピコラの時には撮影もあったので、全て出来なかったので、今回ご指導頂く。中間が抜けていたので、メモして、動いて、とりあえず形にはなった。最後に金山さんが打太刀をやって下さり、何とか通しでできた。


そんな丁度いい所で今回はおしまい。


稽古に加え、話も色々と聞いて下さり、本当にありがとうございました。即興力を高めていきます(笑)また次回もよろしくお願い致します!