山は結構登ってる(とはいっても関東圏ですが)が富士山は初めて。いつも山を登り富士山を様々な角度から見てきたけど、今回は富士山から山や町並みを見下ろす。
私は車を持っていないので、登山となるといつも一緒に行く方の車にお世話になります。ありがたい事です。
登山者が多い事で有名な富士山ですが、日本一の山という事で、しかも御来光を見る為に夜中にも登るという事で装備も入念に。富士宮口5合目から出発し、7合目で宿泊。夜中に山頂を目指すという計画。
さて登山という事で登っていくと、広い。他の山と違い、遮るものが無く、広い。圧倒的。そんな言葉が似合う山。
山登りは絶好の稽古場でもあるので、色々と試しながら登る。脚の引き上げだったり、呼吸法だったり、歩法だったり、内観だったり、意識の向け方だったり。本当に学びになった。
中でも他の登山者を見ていて思ったのが、疲れてくると尚更地面を踏みしめて体重を乗せて(かけて)登ってるなぁという事。これは着地の時に、グッと膝周辺に体重をもろにかけてしまう為に膝を痛めやすい。そうではなくて、前足を出してそこに体重が乗りそうになった時に、股関節から肚、腸腰筋や大腰筋を引き上げながら歩くと、前足に体重がかからずに膝の負担もかなり軽減されて歩ける。そして重心もブレにくい。おかげさまで4、5万歩登ったり下ったりしてましたが、膝周りは痛みや筋肉痛はなし。ハムストにほんの少し心地よい筋肉痛がある位でした。
あとは頭痛。これは普通の頭痛とは違い、耳の後ろ辺りから後頭骨のキワにかけて痛みが走り、孫悟空が三蔵法師に怒られた時に額につけているものがギュッと締まるように締め付けられる感じの頭痛でした。これが高山病かなと思いながら、せっかくの機会だから呼吸を深くして内観して行きました。痛みがあるというのをただ呼吸と共に観察していく。そうすると痛みが軽減し、いつの間にか気にならなくなりました。
そして下山の時の体調があまり良くなく、夜もほとんど寝ずに4時間位登ったりせいで内臓の調子も悪く、寝不足特有のダルさがつきまとっていました。そこでふと以前、先輩稽古人のIさんから八卦掌という武術のある型を行った所、それまで最悪だった体調が驚くほど良くなったという話を思い出して、その型ではないですが基本の動きの応用した歩法を下山しながら行ってみました。基本の八卦掌講習会に何回か参加させて頂いたので、その型はたまに普段の稽古でもやります。この歩法を応用した歩き方で歩いていると特殊な格好になるので明らかに怪しい人ですが(笑)、幸い最後尾で周りに殆ど人もいなかったので存分に試せました。すると、どんどん重心が下に落ちていくのを感じて内臓(特に腎臓とか肝臓のあたり)も独特の充実感と共に良くなってきました。
稽古の話ばかりではなく山の話も。
夜に山を登るというのはとても新鮮だった。深夜、出発の為に小屋を出ると、雲が少し晴れて街並みの夜景が見られた。ここも圧倒的な夜景。自分のいる所が富士さんなんだなぁと実感。登っていて少し経って振り向くと、もうさっきまで見えていた街並みが雲に隠れる。意外と雲って速い。上を見ると小屋がある。すぐかな、なんて油断してるとなかなかつかない。これは登山あるある。あと何mという標識があってもそれ以上に長いだろ!といつも突っ込んでしまう。
そんなこんなで9合目以降は御来光行列が。しかし平日なのか、それでも人が少ない方らしい。土日なんかは凄いんだろうなきっと。幸いな事に、日の出の時刻とほぼ同じ時間に山頂に着く。雲があってハッキリとは見えなかったがそれでもしばし見入ってしまう。そしてその雲がかえってなんと幻想的な事か。丹沢、南アルプス、北アルプス、駿河湾、三保の松原の方面まで地図を見ているような感覚。いつも思うのは富士山は逗子の方から見てもその圧倒的な存在感があるので、信仰の対象になるのもわかる。そして今回登ってみて改めて昔の人々が特別な存在として感じていた事を肌で感じる。その後はお鉢巡りをしながら休憩。休憩後、剣ヶ峰へ行き写真をパチリ。火山口の大きさにまたも富士山の圧倒的なものを感じた。
そして下山。下山は基本的に曇りか雨でしかも距離が長い砂走りコース。身体は動くが寝不足で眠気が酷く、半分自動的に身体が動いていた。途中で八卦掌の歩法を応用した歩き方をしたりして回復してくる頃に砂走りゾーン。私の感覚だと真っ直ぐ下っていくよりは、斜めに走る感じで下って行った方が膝の負担が少なかった。果てしなく続く砂走りゾーン(雲がかかっていた為に視界が殆どない時間もあった)では自衛隊の方は登りで訓練されていた。これは登りでは行く気がしないなと思う急斜面と距離の長さなので、やはり過酷な訓練を積まれているんだなぁと思う。結局、5合目の御殿場口までおりてきたので、約1800メートル弱位下山してきたという事だ。そう考えると凄い。山は途中から登る事が多いような気がするが、一番下からというのはあまりない。そんな中で1800メートル位をおりてきたのは不思議な感じがしたし、あぁおりてきたんだなという実感がかなり強かった。
他の山とは見方が違う富士山。今回は無事登頂できて良かった。毎年でも行きたいなぁ。
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