デルターウィント

東洋の身体観の中で「上虚下実」という言葉がある。一般的には上半身はリラックスしていて、下半身に力が入って充実している状態などと言われている。これは当然私も知っていて、事ある毎に気にかけていた。


ただ、最近は食欲があり、そのせいかみぞおちの辺りが詰まっているのを感じて不快な感じが続いていた。そんな時になかなか寝付けない日があって、ゴロゴロと寝返りを打っていた。こんな事は久しぶりだったので夜がとても長く感じたのである。その時にフト「みぞおちの辺りを内観してみよう」と思って、内観してみた。そうすると、細長い竜巻が胸の辺りまであってクルクルと回っている(よく運動会とかで急に発生する小さな竜巻のような)。さらに集中して観ていくと、竜巻が大きくなって横に広がっていった。それが肋骨の広がりと連動していて、息が今まで入ってきた事が無いような小さな隙間、それこそ細胞1つ1つに入ってきたような感覚があり呼吸が深くなった。そうすると肩周りの力みが抜けてきて、こんなにも自分は力んでいたんだなぁと痛感した。その竜巻の動きと感応するようにみぞおちから上がどんどん広がっていき、喜びが溢れてきた。後で気づいたが、これは中丹田の感覚である。その後、竜巻の動きが上へ大きく広がっていき、解放された状態になり、その瞬間から色々と変化があった。呼吸は変わり、気持ちも変わり、体全身で呼吸してる感じになる。今中丹田の感覚といったが、内観している時にある言葉が強烈に聞こえてきた(やばい人では無いです(^^;;)。それが「デルターウィント」だった。デルターウィント?なんだそれ?と思って、すぐにググってみたが、検索の結果はなし。1日考えて、これは自分が中丹田やみぞおち辺りを感じている竜巻の名称なんだと思える事ができた。



丹田というと主に上丹田、下丹田の意識が強いが、中丹田の重要性にも気づいていなかったなとつくづく感じた。今、丹田を書きすぎてゲシュタルト崩壊しているが(笑)、上丹田は集中する時には必要不可欠であり、下丹田は動きの安定には不可欠である。この中丹田は、ある意味でそれらを繋ぐものであると今回実感した。脚、肚が充実して、上半身は広がっていく。最近の気付きである「丹田を独立させる」感覚は、このデルターウィントへ繋がるための布石だった。


この日の夜の出来事は、身体を観る事を日常的にしていない方には妄言に聞こえるかもしれない。しかし、身体はその時その瞬間に今の状態を教えてくれる。そして身体が、ではどのようにしていくのかを導いてくれる。頭で考える人には理解しがたい事かもしれないが。「この動き」がいいですよと言われてやっている動きと、動いていて自ずからでた「この動き」では、同じ動きだったとしても中身は全然違うもの。私の場合は後者を研究していきたい。ただ、教わった動きでも自ずからでたような動きになる事がある。これを自分のものにしたと言うのだろう。


今後この「デルターウィント」が、どのような影響をもたらすのかを日々生きている事の中で感じていきたい。