今週は、株式会社夜間飛行から毎年発売されている甲野善紀先生のDVD撮影の為、松聲館へ行ってきました。
久しぶりの松聲館だったので緊張するかなと思いましたが、毎年の事なのであぁまた1年が経ったんだなぁと何か懐かしいような感覚になりました。6年続けていると、段取りや流れがスムーズであっという間に終わった感覚があります。本当に毎年、貴重なこの場に呼んで頂くことはこの上ない喜びです。撮影の空間や、終わった後の稽古。何もかもが毎回新鮮で充実感がすごいです。
思えば、なにもバックグラウンドがない私を撮影の受けとして起用して下さり先生の深さを改めて感じました。初めて先生の動きや技の衝撃を受けて以来、ひたすら先生の技を受け続けていたと思います。いつしか先生の技の感覚が何となく伝わってきて、それを自分の身体ではどう表現できるだろうと、感覚を練り育てる日々でした。それが何よりも楽しいのです。そして、少しずつですが、身体の感覚や動きの質が変わっていくのを感じて、その面白さ、不思議さに惹かれていきました。
あくまでも私見ですが、先生は具体的には動きや技を教えてはくれません。こういう手順でこういうやり方で、ここを…と、そういった教わり方に慣れている人にはなんて不親切な(笑)と思われる教え方ですが、私にはその方が断然親切と感じました。それは、私が天邪鬼だったのが1つの理由としてあるのかもしれません(笑)先生は今現在の術理を見せてくれます。そしてその動きをこの感じで、この感覚でと伝えてくれます。それは身体で対話しているような感じです。頭で手順を追うのではなく、この感じ、と身体を通して教えてくれます。それはもちろん、その時に理解するには大変です。なぜなら感覚の下地が違うからです。しかし、稽古していって感覚の下地が出来てくると、この感覚かな、と身体にある感覚を組み合わせていって工夫していきます。そういった身体で考えるという事が甲野先生から教わった何よりも大きなものです。
そして、甲野先生は来年古希を迎えられるとの事ですが、動きがどんどん進展していって人間の可能性というものを体現しているように思います。自分も先生の年齢を迎えた時に、果たしてどこまで進化出来るかが楽しみです。そういった人生の指針にもなる甲野先生の映像作品に関われた事は、貴重な経験、学びと共に財産にもなっています。
日々精進し、実践していかなければと褌を締めなおす気持ちになりました。
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